フィナステリドとミノキシジルの効果

フィナステリドとミノキシジルの効果|併用療法や男女での違いも解説

 

AGA治療薬の画像

フィナステリドとミノキシジルは現在最も広く使われている薄毛治療薬です。 日本皮膚科学会の診療ガイドラインでも、男性型脱毛症の治療法として強く推奨されています。 ただし、女性の場合はミノキシジルについてのみ効果と安全性が確かめられています。この記事ではフィナステリドとミノキシジルの効果についてわかりやすく解説し、男女での作用の違いや併用療法についても紹介していきます。薬の働き方を理解しておくことは患者にとっても有用ですので、毛の成長や薬効のメカニズムについても少し踏みこんで説明を加えることにします。

毛の生え替わりと薄毛の原因

男性型脱毛症(AGA)や女性型脱毛症(FPHL)の原因は毛の自然な生え替わりと関係しています。これについて簡単にまとめておきましょう。

毛は周期的に生えたり脱けたりを繰り返す

毛を生み出しているのは皮膚の表層にある毛包(もうほう)と呼ばれる部分です。毛包は通例2~6年かけて成長し、この間に毛が伸びていきます。
やがて毛包が萎縮して休止期に入り、いったん毛は抜け落ちますが、しばらくすると毛包は成長を再開し、毛も再び伸び始めます。このサイクルを繰り返しながら毛は絶えず生え替わっているのです(※1)。

男性型脱毛症の原因

男性ホルモンの一種であるテストステロンが毛包の細胞に達すると、5α還元酵素と呼ばれる分子の働きでジヒドロテストステロン(DHT)に変化します。DHTは毛包の成長期間を短くし、毛包を「ミニチュア」のように小さくしてしまうという困った働きを持っています。その結果、毛はほとんど伸びないままに脱落を繰り返すようになり、見た目にはまったく生えていないような状態になってしまうというわけです(※1)。DHTは男性型脱毛症の「鍵」となる分子です。毛包の細胞には受容体(じゅようたい)と呼ばれる部分があり、DHTという「鍵」が受容体という「鍵穴」に結合することで脱毛症が引き起こされるのです。受容体の働き方は体質(遺伝)によって異なります。この体質の違いが男性型脱毛症になりやすい人となりにくい人を分ける大きな要因になっています(※2)。

女性型脱毛症の原因

女性型脱毛症の原因についてはまだよくわかっていません。患部の毛包が縮小する点は男性型脱毛症と同様ですが、5α還元酵素やDHTの働きによるものではなく、脱毛のパターンも異なります(※3)。40代以降や更年期に多く発症することから、女性ホルモン減少とホルモンバランスの変化が関係しているとも言われています(※4)。

フィナステリドの効果

日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」(※5)では、各種の治療法が効果と安全性の面から5段階で評価されています。フィナステリドの内服は男性型脱毛症の治療法として最高の評価(「行うよう強く勧める」)が与えられており、現在最も信頼できる治療薬のひとつとなっています。

フィナステリドは毛包の「ミニチュア化」を抑制

フィナステリドは5α還元酵素の働きを阻害する効果を持ちます。これによりテストステロンからDHTへの変化が起こりにくくなり、DHTの濃度が低下します。その結果、毛包の成長サイクルは正常な状態に近づき、男性型脱毛症の症状が緩和されるのです(※6)。ただし、フィナステリドは薄毛になりやすい体質(受容体の性質など)を変えるわけではないため、服用をやめると脱毛の進行が再開してしまいます。したがって、治療効果を維持するためには服用を続けることが必要です。
なお、通常はフィナステリドの外用薬が使用されることはありませんが、内服と同程度の効果があり、副作用のリスクは内服より小さいという研究結果もあります(※7)

フィナステリドは女性には効果がない

フィナステリドの内服は女性型脱毛症には効果がないことがわかっています(※5)。また、妊娠中に服用すると胎内の男児の生殖器発育に悪影響を与える恐れがあり、母乳を通した男児への影響も考えられるため、妊婦や授乳中の女性には使用できません(※8)。

ミノキシジルの効果

日本皮膚科学会の「ガイドライン」で、ミノキシジルの外用は男性型脱毛症・女性型脱毛症の両方で「行うよう強く勧める」と評価されています。ただし、ミノキシジルの「内服」については効果と安全性が十分に検証されていないため「行うべきではない」とされています(※5)。

ミノキシジル外用で毛包の成長が促進される

ミノキシジルを患部に塗布すると、毛包の休止状態から成長期への移行を早め、成長期間を延ばす効果があります(※5)。つまり、毛包の成長を促進することでDHTによるマイナスの効果を打ち消す働きをするわけです。

フィナステリドと同様に、ミノキシジルには遺伝的な体質を改善する効果はありません。効果を維持するには使用を続ける必要があります。

ミノキシジルは女性にも効果あり

ミノキシジルは女性型脱毛症にも効果があることが確かめられています(※5)。女性にとっては現在のところ信頼できる唯一の治療薬です。日本では男性患者向けには濃度5%までのミノキシジルが認可されていますが、女性向け製品は1%濃度となっています。
これは女性患者に対してはまだ1%濃度でしか臨床試験が行われていないためで、5%濃度のミノキシジルが女性には危険だという研究があるわけではありません。アメリカでは以前から2%濃度ミノキシジルが女性に対しても用いられており、2014年からは5%濃度のものも販売されています(※9)。

ミノキシジルの内服は医師の管理下で行うべき

ミノキシジルは、アメリカなどでは降圧剤(血圧を下げる薬)として認可されているため、個人輸入などで入手したミノキシジル降圧剤を使用することは避けるべきです。

フィナステリドとミノキシジルは併用できる?

上述の通りフィナステリドとミノキシジルの働き方はまったく異なるため、同時に使用しても互いの作用を邪魔しあうということはありません。したがって併用は可能で、フィナステリド内服とミノキシジル外用を併用することで治療効果が高まるとする研究もあります(※11)。実際に多くのクリニックで併用治療が行われています。

フィナステリドとミノキシジルによる治療は長期的な視点が大切

フィナステリド内服とミノキシジル外用は効果と安全性が確かめられており、安心して選択できる治療法です。男性の場合は併用により効果が高まることも期待できます。
ただし、いずれの治療薬も使用をやめると効果が失われ、薄毛が再び進行してしまいます。その点を念頭に置き、費用面も十分に検討しながら長期的な治療計画を立てることが大切です。ミノキシジル内服薬(ミノキシジルタブレット)などの不確かな治療法については、楽観的な記事や宣伝を鵜呑みにせず、副作用が起こるリスクや費用が無駄になる可能性を十分に考慮した上で慎重に選択するようにしましょう。

 

リファレンスURL
※1)男性型脱毛症治療薬の研究動向
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/133/2/

133_2_73/_pdf/-char/ja
※2)アンファー「将来のAGAになりやすい傾向と薬剤の効きやすさを遺伝子によって予測」アンドロゲンレセプターの遺伝子検査
https://www.angfa.jp/news/?p=654
※3)株式会社資生堂リサーチセンター/徳島大学医学部 皮膚科/徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 皮膚科学、女性の薄毛とアデノシンによる改善効果
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sccj/

45/1/45_35/_pdf/-char/ja
※4)アデランス「女性型脱毛症について」
https://www.aderans.co.jp/corporate/rd/

docter-about03.html
※5)日本皮膚科学会ガイドライン「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/

127/13/127_2763/_pdf/-char/ja
※6)男性型脱毛症治療の現状と今後の展望
https://www.jstage.jst.go.jp/article/

fpj/133/2/133_2_78/

_pdf/-char/ja
※7)A Systematic Review of Topical Finasteride in the Treatment of Androgenetic Alopecia in Men and Women
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc

/articles/PMC6609098/
※8)MSD プロペシア錠0.2mg/1mg 医薬品インタビューフォーム
https://www.msdconnect.jp/static/mcijapan/

images/if_propecia_tab.pdf
※9)Johnson & Johnson「About Rogaine」
https://www.rogaine.com/about-us.html
※10)Dovepress「Minoxidil and its use in hair disorders: a review」
https://www.dovepress.com/minoxidil-and-its-use-in-

hair-disorders-a-review-peer-reviewed-fulltext-article-DDDT
※11)ラジオ日経 マルホ皮膚科セミナー「男性型脱毛症治療の新しい展開」

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