【クリニック監修】AGA治療薬の服用は一生続く?服用量の変化は?

 


AGA治療をご検討中の患者さまの中には、「投薬治療ってたぶん生涯続けないといけないみたいだし、それがちょっとね…」と思われている方もいらっしゃるかもしれません。これは捉え方としては概ね正しいですが、正確でない部分もございます。実際のところAGA治療薬の服用は一生続くのでしょうか…。あるいは、どこかのタイミングで終了したり、用量を抑えていくといった調整もあるのでしょうか…。当コラムで正しく解説いたしますので、治療を迷われている患者さまはぜひご一読ください。

AGA治療薬の服用は長期的視野が大前提!

aga期間

まず、誤解を招いてしまわないように明確に結論をお示しします。AGAの内服治療(投薬治療)は、基本的に10年、20年と長期的視野に立ってお考えいただくべきものです。たとえば当院の内服治療費をベースにざっくりと考えても、月に1万5千円程度のご予算 が必要になります。イメージとしては、携帯料金(通信費)よりもやや大きめの支出が続いていくというのが一般的な形です。

AGA治療薬を飲み続けているのに完治しない理由 → 対症療法だから

一番のポイントとしてご理解いただきたいのがこの部分ですね。「なぜ、ずっと薬を飲み続けているのに治らないのか?」これについては、AGA治療薬は抜け毛や薄毛の発生メカニズム自体を根治させられるものではなく、薄毛要因が生じやすい遺伝的な傾向をその都度ブロックし続けているものだからです。

「対症療法」と「根本療法(原因療法)」という言葉がありますが、厳密に切り分けるとAGA治療薬を用いた薄毛治療は「対症療法」ということになります。


対症療法と根本療法
 対症療法…生じている症状に対する治療法で、その症状の抑制や軽減を目的としたもの
 根本療法…病状の原因を探り、その原因自体の除去を狙った治療法
※ちなみに「対処療法」という表現は誤った言葉です。

AGA治療の解説では、よく「ジヒドロテストステロン(DHT)の発生原因自体を取り除く」といった表現もされますが、これは善玉の男性ホルモン「テストステロン」と「5αリダクターゼ(還元酵素)」の結びつきを妨害するという効能にフォーカスしたものに過ぎません。前頭部や頭頂部に「5αリダクターゼ(還元酵素)」自体が発生しなくなるような体質改善治療薬ではないのです。

つまり、以前としてそこに薄毛を引き起こす要因は残るものの、これを飲んでいればその先にある「ヘアサイクルの乱れ」という帰結にまでは到達しにくくなりますよという治療法なのです。このため、AGA治療薬の服用を止めてしまうと、また「薄毛メカニズム」が発動してしまい、再び抜け毛が増えたり髪が痩せ細っていくという影響が考えられます。

AGAメカニズムと治療薬の作用のおさらい

それでは、ここで「AGAメカニズム」についておさらいさせてください。後の「服用量の調整」にも繋がる話なので、ご存知の患者さまもざっとご確認いただければと思います。


AGAのメカニズム
① 血流に乗って全身を巡っているテストステロン(善玉男性ホルモン)が頭皮上の毛細血管に辿り着く
② 前頭部や頭頂部で「5αリダクターゼ(還元酵素)」と結びついて、薄毛因子DHTが産出される
③ 毛根組織内で男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)がDHTをキャッチし、ヘアサイクルの乱れが生じ始める
④ ヘアサイクルの中で「成長期」と呼ばれる髪が育つ期間が極端に短くなり、毛髪が細く弱々しくなる
⑤ 髪が育たないだけでなく、1本1本が頭皮上に留まっている期間が短くなるため薄毛に至る

ポイントとしては「テストステロン」と「5αリダクターゼ」が結びついてしまうというところです。これがあるために、薄毛因子や悪玉男性ホルモンとも呼ばれる「DHT(ジヒドロテストステロン)」が誕生してしまいます。

そして、残念なことに前頭部や頭頂部に存在する「5αリダクターゼの量」は遺伝的な性質として受け継がれています。「5αリダクターゼ」という還元酵素自体を消滅させられるならそれは「根本治療」になりますが、現在できるのは、あくまでも「テストステロン」と「5αリダクターゼ」の結合阻害までです。

主要なAGA治療薬の作用

AGA治療の代表的なお薬「フィナステリド」や「デュタステリド」の持つ作用は次のようなものです。「テストステロン」と「5αリダクターゼ」の結合を阻害できるため、ジヒドロテストステロン(DHT)の発生が抑制されます。(ミノキシジルの作用はまた異なります)。


AGA治療薬「フィナステリド」や「デュタステリド」の作用
 「テストステロン(善玉男性ホルモン) + 5αリダクターゼ(還元酵素)」の結合を阻害
→ これにより、悪玉男性ホルモン「DHT」の産出が阻害される
※フィナステリドは「プロペシア」という製品名、デュタステリドは「ザガーロ」という製品名でも知られています。

このようなことから、男性ホルモンの代表格の「テストステロン」が精巣で作られ、それが血流にのって全身を巡っている限り…、そして遺伝的に頭皮上に多く「5αリダクターゼ」が存在する体質である限り、薄毛メカニズムが発動するのは自然な流れということになります。お薬を飲んでいる間は薄毛化を抑制できますが、服用を止めるとやはり同じような好ましくない作用に悩まされる可能性が高くなります。

AGA治療薬は「一生同じ服用量」というわけでもない理由!?

aga薬_一生

前項で「携帯料金(通信費)よりもやや大きめの支出が続いていくのが一般的」と申し上げましたが、実はこれは「治療費が必ず同額で横ばいに継続していく…」ということではありません。この点はあまりご存じない患者さまもおられますので、よくご確認いただければと思います。

ジヒドロテストステロン(DHT)に変化してしまう原型の善玉男性ホルモン(テストステロン)については、実は加齢の影響で少しずつ分泌量が減っていくことがわかっています。DHTに変化し得る原型のテストステロンの総量が減少していくため、必ずしも同じ量のAGA治療薬を服用し続けなくても良いケースも考えられます(あくまでも、長い目で見たらの話ですが…)。

「テストステロン」の分泌量は加齢に伴い緩やかに減少する

テストステロン

「遊離テストステロン基準値」グラフの切り抜き(PDF) 日本人成人男子の総テストステロン,遊離テストステロンの基準値の設定【日泌尿会誌,95巻,6号,2004年:751~760】岩本晃明ほか

こちらの表は、聖マリアンナ医科大学泌尿器科学教室の岩本晃明教授が発表された研究結果を一部抜粋したものです。上記を見れば私たちの血中に流れている「遊離テストステロン値」は年齢を追うごとに緩やかに減少していくことが理解できます。

「遊離テストステロン(フリーテストステロン)」という言葉はあまり耳馴染みのないものだと思いますが、これは「総テストステロン」の中でも体内で実際に作用(活性化)しやすい「テストステロン」にフォーカスしたものです。 つまり、この値が高ければ高いほど「テストステロン」特有の男性らしい骨格や筋力、アグレッシブな気質などが表面化してくるということです。

グラフにあるように、私たち男性はやはり加齢に伴って精神的には丸くなり、肉体的には骨格や筋力などが衰えていくことがわかります。老いは私たちにとってあまり好ましいものではありませんが、テストステロンの分泌量が減るということは、それだけジヒドロテストステロン(DHT)の産出量も減っていくという見方もできます。

年齢に伴って「服用量の調整(減薬)」もあり得る

上記のようにテストステロン自体の分泌量が加齢に伴って減少していきますので、長期的に捉えれば同じ服用量のAGA治療薬をお飲みいただく必要まではありません。どの程度の減量や原薬が可能になるかは、服用を始めていただいた時期、その時々の毛量変化、患者さまの頭皮環境や体質、生活習慣などが関係してきます。

それでも、加齢に伴ったテストステロン値の変化に比例し、DHTの発生リスク(発生する場合のDHTの総量)も減っていくと判断できますので、ある程度服用していく中でお薬の量を減らしていくという選択も十分に考えられます。

逆に捉えれば、今の段階で「後から服用量を減らすこと」を考えて電卓をはじくよりも、テストステロン値の分泌量がピークになっている20代や30代の時期(=最もDHTの量が増える可能性がある時期)に、早めに治療を開始していただくことが重要だとも言えます。

当院では、生活習慣の改善もサポートします♪

サポート

当コラムでは、AGA治療で良く出てくる疑問「一生治療薬を飲み続けないといけないの?」に焦点を当てて解説いたしました。ご理解いただけたように、私たちの男性ホルモンの分泌量は、年齢的な影響を受けて変化していきます。諸悪の根源とされる「ジヒドロテストステロン(DHT)」についても、原形のテストステロン値の減少によって産出量が減っていくことが理解できます。

あくまでも「緩やかな減少」という傾向に過ぎませんので、10年、20年と長期的に治療薬を服用いただくことをイメージしていただきたいですが、それでも多少は減薬させていただくこともあり、生活習慣などの改善も踏まえると、僅かずつではあるものの月額治療費の支出が減っていく可能性があります。

早く手を打てば打つほど減薬調整の可能性も増えますので、迷われている男性はお早めに当院までご相談ください。当コラムが皆さまの薄毛治療に前向きな判断をもたらしてくれることを願っています。

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